登山では、服装選びが命に関わることもあります。間違った素材や組み合わせを選ぶと、低体温症や汗冷えのリスクが高まり、安全に楽しめなくなってしまうことも。
この記事では、春夏の暖かい季節と秋冬の寒い季節の登山に適した服装を、それぞれのポイントとともに解説します。
初めての登山でも取り入れやすいシンプルな選び方を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!

登山の服装は“レイヤリング”がカギ!季節ごとのポイントを押さえて、安全&快適に楽しもう!
登山初心者必見!服装選びで迷ったら?


「登山を始めたいけど、どんな服装がいいのかわからない…」と悩む人は多いですよね。登山専用のウェアが必要なのはわかるけど、いきなり全部揃えるのは難しい…。そんな時はどうすればいいのでしょう?
観光気分で行ける山なら、普段着+αでもOK!


高尾山や六甲山のように、ケーブルカーやリフトがあって道が整備されている山なら、普段着でも楽しめます。ただし、ヒールやサンダル、スカートはNG! 歩きやすいスニーカーや動きやすい服装を選び、急な天候変化に備えて防寒着や雨具も忘れずに。
本格的な登山なら専用ウェアを少しずつ揃えよう


観光向けの山以外では、やはり登山専用の服装が必須。登山用ウェアは、汗を逃がしやすく、動きやすく、天候の変化にも対応しやすい設計になっています。最初は手持ちの服で代用しつつ、登山を続けるなら機能性の高いウェアを少しずつ揃えていくのがオススメです!
登山の服装選びは「素材」と「重ね着」がカギ!


登山では、服装の選び方が安全性にも関わります。特に「濡れ」は体温低下の原因になり、低体温症や事故のリスクを高めてしまいます。そのため、登山時の服装選びでは「素材」と「重ね着(レイヤリング)」の2つが重要ポイントです。
① 吸水速乾性に優れたウェアを選ぶ


登山では汗をかくことが多く、汗を吸ったまま乾きにくい服を着ると体が冷えてしまうため、吸湿速乾性のある素材を選びましょう。
おすすめの素材
✔ 化学繊維(ポリエステル・ナイロン・ウール)
→ 汗を素早く吸収し、乾きやすいので快適
避けるべき素材
✖ 綿(コットン)
→ 一度濡れるとなかなか乾かず、体を冷やす原因に
特にTシャツやインナーを選ぶ際は、洗濯タグをチェックし、綿100%のものは避けるようにしましょう。
② 登山の基本「レイヤリング」をマスター


出典:モンベル
季節ごとに服を変えるのではなく、重ね着(レイヤリング)によって体温調節を行うのが登山の基本です。
①標高が上がるほど気温は低下
標高が100m上がるごとに気温は0.5〜0.6℃下がるため、たとえ夏でも標高が高い場所では防寒対策が必要になります。
②登山の3層レイヤリング
登山の服装は、3つのレイヤー(層)を組み合わせて調整します。
レイヤー | 役割 | 特徴 |
---|---|---|
① ベースレイヤー(インナー) | 汗を素早く吸収・拡散し、肌をドライに保つ | 吸湿速乾性の高い化学繊維やウール製 |
② ミドルレイヤー(保温着) | 体温をキープし、寒さを防ぐ | フリース・ダウンジャケットなど |
③ アウターレイヤー(シェル) | 風・雨・雪を防ぐ | 防風・防水性のあるジャケット |
季節に応じた調整ポイント
✔ 夏でも長袖ベースレイヤーを着ると、日焼け対策&汗冷え防止になる
✔ 冬の低山なら、アウターレイヤーは防寒ジャケットではなくレインウェアで十分なことも
これらを押さえておけば、どんな季節でも快適に登山を楽しめます!
夏の登山の服装|汗冷えを防ぎ、快適に歩くためのポイント


夏の登山では、大量の汗をかくため速乾性が最重要。
「暑いのに重ね着?」と思うかもしれませんが、適切なレイヤリング(重ね着)をすることで、汗冷えを防ぎつつ快適に登山を楽しめます。
① 夏のベースレイヤー(インナー)|吸湿速乾性がカギ!
肌に直接触れるベースレイヤー(インナー)は、速乾性の高い化学繊維(ポリエステルなど)を選びましょう。
モンベル|ジオライン クールメッシュ Tシャツ Men’s


出典:モンベル
登山向けに開発されたモンベル独自のメッシュ素材を採用し、通気性と速乾性に優れたTシャツ。大量に汗をかいても素早く乾くため、汗冷えのリスクを軽減し、快適な着心地をキープできる。
・素材:ポリエステル100%(ジオライン®クールメッシュ)
・重量:67g
・カラー:ブラック(BK)、ライトグレー(LGY)
② 夏のミドルレイヤー(シャツ・薄手のジャケット)|紫外線&体温調整
ベースレイヤーの上には、吸湿速乾性のある薄手のポリエステルシャツなどを重ねます。
コロンビア|シルバーリッジ ユーティリティ ライトプレイド ロングスリーブ




紫外線をブロックする機能を備え、強い日差しから肌を守りながら、汗をかいてもすぐに乾く速乾性を持つトレッキングシャツ。背面にスリットがあるため通気性が高く、暑い日でも衣服内に熱がこもりにくい。
・素材:リサイクルポリエステル100%
・カラー:Dark Stone Dispearsed Plaid / Night Wave Dispearsed Plaid / City Grey Dispearsed Plaid
③ 夏のアウターレイヤー(雨具・防寒着)|必ず携帯しよう!
夏でも山の天気は変わりやすく、突然の雨・風・気温低下に備えるために、軽量な防水ジャケットを持っていきましょう。
モンベル|ストームクルーザー ジャケット Men’s


出典:モンベル
高い防水透湿性能を誇るゴアテックス素材を採用し、突然の雨や強風から身体を守るジャケット。軽量で持ち運びしやすく、コンパクトに収納できるため、夏の登山でも必ず携帯しておきたい一着。
・耐水圧:50,000mm以上
・透湿性:35,000g/m²・24hrs(JIS L-1099B-1法)
・重量:254g
春・秋の登山の服装|寒暖差に対応し、快適に歩くためのポイント


春や秋は気温の変化が大きく、標高の高い山では冬のように冷え込むこともあります。街では暖かくても山の上は寒いことも多いため、適切な服装で防寒対策をしっかり行いましょう。
① 春・秋のベースレイヤー(インナー)|速乾性と保温性がカギ!
気温の低いことが多い春・秋の登山では、吸湿速乾性に加えて適度な保温力を持つインナーを選ぶことが重要です。ウール混の長袖や、中厚手のベースレイヤーを選ぶと快適に過ごせます。
モンベル|ジオライン L.W. Uネックシャツ Women’s


出典:モンベル
モンベル独自の高機能素材「ジオライン®」を使用したインナーで、速乾性と保温性を両立。寒暖差の大きい山でも汗を素早く乾かしつつ、適度な暖かさを保つため、春・秋の登山にぴったりの一枚。
・素材:ジオライン®(ポリエステル100%)
・重量:89g
・カラー:ブラック(BK)、ブルー(BL)、タン(TN)
② 春・秋のミドルレイヤー(フリース・ジャケット)|防寒対策の要
ベースレイヤーの上には、保温性のあるフリースや薄手のジャケットを重ね、冷え込む時間帯でも快適に過ごせるようにしましょう。
モンベル|シャミースジャケット Men’s


出典:モンベル
軽量で持ち運びやすく、寒いときにサッと羽織れるフリースジャケット。春や秋の冷え込みに対応しつつ、暑くなればすぐに脱いで調整できるため、登山中の体温管理に最適なアイテム。
・素材:シャミース™(ポリエステル)
・重量:245g
・カラー:ブルーグリーン(BGN)、ブラック(BK)、ブルー(BL)、ダークブラウン(DBN-C)、イエロー(MST-C)、レッド(PAP-C)、グレー(SLAT)
③ 春・秋のアウターレイヤー(防風・防寒対策)|冷たい風や気温低下から身を守る
気温が急激に下がることがある春・秋の登山では、風を防ぐウィンドシェルや保温性のあるアウターを持っていくのが安心です。
ノースフェイス|スワローテイル フーディー レディース


軽量で動きやすく、登山中に冷たい風から身体を守るウィンドシェル。適度な防風性を持ちながら、通気性にも優れているため、行動中もムレにくく快適に過ごせる。持ち運びしやすく、荷物にならないのも魅力。
・素材:軽量ウィンドシェル
・カラー:複数展開(楽天・ヤフー・Amazonで確認可能)
冬の登山の服装|厳しい寒さから身を守るためのポイント


冬の登山では、保温性が最も重要ですが、それだけでは不十分。汗をかいた後に素早く乾かせる吸湿速乾性も必要です。動いている間にかいた汗が乾かずに残ると、体を冷やし低体温症のリスクが高まります。
そのため、「保温」と「速乾」の両方を兼ね備えた服装を選びましょう。
① 冬のベースレイヤー(インナー)|保温性と吸湿速乾性を両立
寒冷地では、肌に直接触れるベースレイヤーが重要。ウール素材を選ぶと適度な保温性が得られ、汗を吸収しても冷えにくくなります。寒さが厳しい場合は、ベースレイヤーを2枚重ねにするのもおすすめ。
アイスブレイカー|200 オアシス ロングスリーブ クルー メンズ


メリノウール100%の中厚手ベースレイヤーで、肌に優しい滑らかな着心地が特徴。ウールならではの吸湿性・保温性・防臭性を備えており、長時間の登山でも快適に過ごせる。
・素材:200g/m² ジャージ(ウール100%・メリノウール)
・カラー:グリッドストーンヘザー、ミッドナイトネイビー、ブラック、ローデン、アンダイド
② 冬のミドルレイヤー(ダウン・フリース)|コンパクトで軽量な防寒着
ミドルレイヤーには、軽量で高い保温性を持つダウンジャケットがおすすめ。薄手でコンパクトなものを選ぶと、アウターシェルとの重ね着がしやすくなります。
モンベル|スペリオダウン ラウンドネックジャケット Men’s


出典:モンベル
800フィルパワーの高品質ダウンを使用し、軽量ながら優れた保温力を発揮。表地・裏地ともに耐久性と撥水性に優れたナイロン素材を使用しており、寒冷地でもしっかりと暖かさを保つ。
・素材:
- 表地:20デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ(撥水加工)
- 裏地:10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・リップストップ(撥水・帯電防止加工)
- 中綿:800フィルパワー・EXダウン
・重量:165g
・収納サイズ:直径10 × 15cm
・カラー:ブルーグリーン(BGN)、ブラック(BK)、ダークグリーン(DGN)、ネイビー(NV)、タン(TN)
③ 冬のアウターレイヤー(ハードシェル)|風・雪・雨を防ぐ必須アイテム
冬山では、強風や降雪に耐えられる防水・防風性の高いハードシェルが必要。耐久性が高く、機能性に優れたゴアテックス素材のウェアを選ぶと安心。
マムート|Nordwand Pro HS Hooded Jacket Men


スイスの山岳ガイドの意見を取り入れた、アルパイン登山向けの高機能ハードシェルジャケット。GORE-TEX Proを採用し、優れた防水性・防風性・透湿性を発揮。厳しい冬山の環境下でも快適に行動できる。
・素材:
- ライニング:GORE-TEX® Pocket Liner 3-layer
- メイン素材1:GORE-TEX® Pro 3-layer(Solution-Dyed Backer)
- メイン素材2:GORE-TEX® 3-layer with C-KNIT™ Technology Stretch
- デニール(生地の厚み):80D × 80D
・カラー:Arumita-Azurit、Tarn-Azurit、Night
登山靴やリュック(ザック)の選び方|快適に歩くためのポイント


登山靴とリュックは、服装と同じくらい重要な装備です。デザインだけで選ばず、自分の足や体にフィットするものを選ぶことで、登山中の快適さが大きく変わります。
① 登山靴の選び方|フィット感が最優先!


登山靴は、必ず試着してから購入しましょう。メーカーごとに靴の形が異なるため、自分の足に合わないと長時間の登山で痛みや靴擦れの原因に。特に初心者は、足首を保護するミドルカット以上の登山靴を選ぶのがおすすめです。
キャラバン|トレッキング シューズ ユニセックス


登山初心者におすすめのモデル。安定感があり、足にフィットしやすい設計で、快適な履き心地を提供します。
・素材 合成皮革+ナイロンメッシュ
・サイズ 22.5~30cm(0.5cm刻み)
マウンテンクルーザー600




出典:mont-bell(左/マウンテンクルーザー600 Men’s、右/マウンテンクルーザー600 Women’s)
防水透湿素材ゴアテックスを使用し、雨の日や湿気の多い環境でも快適です。軽量ながら高い耐久性を備え、荷物が比較的軽い1泊2日の小屋泊や日帰りハイキングに適しています。足へのフィット感も高く、長時間の歩行による疲労を軽減します。
モンベル|マウンテンクルーザー600 Men’s
・重量 500g(25.5cm・片足)
・カラー ブルー(BLAC)、ダークグレー(GM)、オレンジ(OGRD)
・サイズ 24~31cm(0.5cm刻み)
モンベル|マウンテンクルーザー600 Women’s
・重量 437g(23.5cm・片足)
・カラー ダークブラウン(DBN)、ピンク(RDVT)、イエロー(TOPAZ)
・サイズ 22~26cm(0.5cm刻み)
② リュック(ザック)の選び方|背面長とフィット感をチェック!


登山リュックは、背負ったときに体にフィットするかどうかが重要。特に背面長(背中の長さ)に合ったものを選び、ヒップベルトで荷重をしっかり分散させることで、長時間背負っても疲れにくくなります。
モンベル|キトラパック 30




出典:mont-bell(左/キトラパック 30、右/キトラパック 30 Women’s)
日帰り登山や1泊2日の山小屋泊に適したモデル。ザックの底面から荷物にアクセスできる設計で、荷物の出し入れがしやすい。
モンベル|キトラパック 30
・素材:
- 本体:100デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ(ウレタンコーティング)
- 底部:210デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ(ウレタンコーティング)
・容量:30L
・重量:1.45kg(アクアバリアサック含む)
・サイズ:高さ66 × 幅28 × 奥行き21cm
モンベル|キトラパック 30 Women’s
・素材:
- 本体:100デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ(ウレタンコーティング)
- 底部:210デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ(ウレタンコーティング)
・容量:30L
・重量:1.455kg(アクアバリアサック含む)
・サイズ:高さ66 × 幅28 × 奥行き21cm
ミレー|サースフェー NX 30+5


ハイキングから本格縦走まで対応するロングセラーモデル。背面のメッシュ構造により通気性が高く、長時間背負っても快適。
・素材:コーデュラ®オックス 210D ナイロン100%(耐水1,500mm)
・容量:30+5L
・重量:1500g
・サイズ:幅29 × 高さ65 × 奥行16cm
グレゴリー|ズール30(メンズ)


ショルダーハーネスとヒップベルトで荷重を分散し、長時間の登山でも快適に背負えるモデル。日帰り登山や山小屋1泊にも対応。
・容量:
- SM/MD:28L
- MD/LG:30L
・重量:
- SM/MD:1.38kg
- MD/LG:1.42kg
登山では遭難対策も忘れずに!GPSアプリ&ココヘリを活用しよう
登山に行くときは、服装だけでなく遭難対策も万全にしておくことが大切です。
実際、山岳遭難は毎年約3,000件発生しており、そのうち約4割が道迷い遭難と言われています。
そのため、登山時にはGPSアプリを活用し、現在地を把握できるようにしておくことが重要です。また、遭難時に早期発見・救助をサポートする「ココヘリ」も、登山の新常識として広まっています。
GPSアプリを活用しよう


スマートフォンのGPS機能を活用した登山用地図アプリを利用すれば、登山中のルート確認や現在地の把握が可能になります。事前に地図をダウンロードしておけば、電波が届かない場所でもナビゲーションができるため安心です。
「ココヘリ」で万が一の遭難に備える


「ココヘリ」は、登山者の位置情報を発信し、遭難時に迅速な救助を可能にするサービスです。小型の発信機を持ち歩くことで、捜索ヘリや救助隊が登山者の位置を特定しやすくなり、救助までの時間を大幅に短縮できます。
登山を安全に楽しむためにも、GPSアプリとココヘリを活用し、万が一に備えた対策をしておきましょう!
登山を快適に楽しむために、お気に入りのウェアとギアを選ぼう!


登山では、服装の選び方ひとつで快適さも安全性も大きく変わります。特に、直接肌に触れるベースレイヤーの素材を間違えると、汗冷えや低体温症のリスクが高まり、体調を崩す原因にもなります。
適切なウェアやギアを選ぶことで、長時間の登山でも快適に過ごせるだけでなく、万が一のトラブルを回避することにもつながります。自分にぴったりのアイテムを見つけて、思いきり登山を楽しみましょう!